坐骨神経痛について

「坐骨神経痛」とは、坐骨神経の通り道である腰やお尻から太ももの後ろ側を中心に、痛みやしびれなどの症状が現れる病態の総称です。

つまり、何が原因かわからない場合でも、お尻や太ももの後ろ辺りに痛みなどの症状がある場合には、「坐骨神経痛」という名称が使われます。

坐骨神経痛という名前の病気があるわけではありません。

脚に痛みなどの症状がある場合には、まず、整形外科などを受診して痛みの原因を調べることが必要です。

坐骨神経痛を引き起こす病気は、腰の骨の変形や神経の障害、また、悪性腫瘍や感染症など実に様々です。

診断には、レントゲンやMRI・血液検査などが行われます。

検査で原因となる病気が見つかれば、その病名が診断名になり、治療が進められます。

坐骨神経痛の診断で難しいのは、検査などで得られた結果と、現れる症状が一致しないケースがあるということです。

例えば、レントゲン画像では腰の骨に異常が見られるのに、本人は特に痛みもなく普通に歩けるケースがある一方で、耐えられない痛みがあるのに、検査では以上が見つからないケースもあるのです。

つまり、画像検査で痛みの原因がすべてわかるわけではないということです。

そのため、画像検査で見つかった病気を治療しても、症状が改善されないことが起こりえます。

原因がよくわからない脚の慢性痛に、「坐骨神経痛」という診断名をつけると、『神経痛』という言葉から、医師も患者さんも【この痛みは神経の障害によって起きているものだ】と思い込んでしまいがちです。

しかし、原因不明の脚の慢性痛のほとんどは、神経の障害ではなく、『筋・筋膜痛』という筋肉の障害であることが多いのです。

→《筋・筋膜痛について》へ!!!

(今日の健康 2012年 9月号 参照)